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2024年9月9日
生徒および保護者の方々へ 校長室から9月
2024.9.7
8月末には、台風10号が九州から四国へ襲来し、遠く離れた関東・東海地区等で大雨や突風等の甚大な被害が出ています。進路が当初の予想より大きく西に向きを変え、移動速度が大変遅く、台風から遠く離れた地域にも大雨を降らせ、なかなか進路が定まらず台風の予報円が大きかったのが特徴でした。本県でも天草、県北地区を通過し被害をもたらしています。本校では8月29日と30日を臨時休校としました。列車、バス、電車等の公共交通機関も運休となりショッピングセンターも臨時休業としたところが多くありました。九州では鹿児島、宮崎、大分等で大きな被害が出ています。9月一杯は台風の襲来が心配される時期となります。今後も油断せず自然災害への備えをしていきたいと思います。保護者の皆様、生徒諸君にはご理解とご協力をいただきありがとうございました。
9月1日は、関東大震災が発生した日(1923年9月1日午前11時58分に発生)であり「防災の日」と定められています。今年は関東大震災発生から101年となります。この時期は、台風のシーズンでもあり、防災意識の向上を目的に制定されています。マグニチュード7クラスの首都直下地震が今後30年以内に発生する確率は約70%といわれています。先月は南海トラフ地震の想定域内でマグニチュード7.1の地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が発令されました。巨大地震では、建物の倒壊や火災だけでなく、大規模な土砂崩れ、津波の発生、ダムや堤防の決壊による河川の氾濫なども想定されます。地震によって様々な災害が複合的に発生する恐れがあります。「自分の身を自分で守る」ためには、基盤となる知識や技能を習得し、災害を自分事としてとらえることが重要だと言われます。自分事とは、「災難を自分にも降りかかってくるものと受け止め、自分はいかに備えるかを考えること。発生時には、状況を見て身の守り方を判断し、安全に行動できるようになること」と言われます。地震そのものを防ぐことはできませんが、自分の身を守るための「物の備え」「心構え」、そしてそれを支える「人のつながり」を大切にする備えはできます。本校でも9月4日に防災避難訓練を実施しました。台風、大雨、地震等、自然災害への危機意識を持ち、災害への備えをしっかりと取っていきたいと思います。
津波被害が多い三陸地方では、これまでの教訓から「津波てんでんこ」と伝えられてきました。「津波が来たら、家族が一緒にいなくても気にせず、いち早く各自てんでんばらばらに高台に逃げ、まずは自分の命を守れ」との言い伝えです。そうすることが結果的にはみんなの命を守る事になるのです。常日頃から訓練を重ね、この言葉を実践し、東日本大震災時に被害を最小限にとどめた地域があります。防災意識を高め、自分事としてとらえて行動したいものです。
昨年も話題にしました「ナッジ(nudge)」(「そっと押して動かす」という意味があり、行動変容をそっと促すというような意味で使用されています)の考え方を取り入れた独立行政法人経済産業研究所の「豪雨災害時の早期避難促進ナッジ」(March 2020より)という報告書によれば、豪雨の際の早期避難を広く呼びかける場合のナッジメッセージとして次のメッセージが効果的で現実的ではないかと紹介されていました。
「あなたが避難すると、人の命を救えます」
率先垂範で行動することが期待されており、「津波てんでんこ」と通じるものがあると思います。各自が災害を自分事として捉えて、何ができるかを考え、進んで行動しリーダーシップを発揮することが求められています。コロナも油断できません。自分事として捉えて行動したいものです。