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2023年9月2日
生徒および保護者の方々へ 校長室から9月
2023.9.1
日本の南では、台風が11号・12号と次々と発生し、日本に近づいています。9月一杯は台風の襲来が心配される時期となります。9月1日は、関東大震災が発生した日であり「防災の日」と定められています。この時期は、台風のシーズンでもあり、防災意識の向上を目的に制定されています。関東大震災は、1923年(大正12年)9月1日の午前11時58分に発生し、今年は発生から100年の節目の年となります。M(マグニチュード)7.9と推定されている本震の震源は神奈川県西部であり、丁度昼食の準備で火を使っていた時間帯だったことも重なり大規模な火災となって被害を大きくしたといわれています。M7クラスの首都直下地震が今後30年以内に発生する確率は約70%といわれています。巨大地震では、建物の倒壊や火災だけでなく、大規模な土砂崩れ、津波の発生、ダムや堤防の決壊による河川のが氾濫なども想定されます。地震によって様々な災害が複合的に発生する恐れがあります。「自分の身を自分で守る」ためには、基盤となる知識や技能を習得し、災害を自分事としてとらえることが重要だと言われます。自分事とは、「災難を自分にも降りかかってくるものと受け止め、自分はいかに備えるかを考えること。発生時には、状況を見て身の守り方を判断し、安全に行動できるようになること」と言われます。災害時には、熊本地震の時の「動物園のライオンが逃げた」などように誤った情報が拡散する恐れもあります。私たちは、正しい情報を確認して行動することが大切です。地震そのものを防ぐことはできませんが、自分の身を守るための「物の備え」「心構え」、そしてそれを支える「人のつながり」を大切にする備えはできます。県のホームページにも大雨や台風などの自然災害から私たち自身を守るためのマイタイムライン(防災行動計画)の作成について紹介されています。上手に活用して日ごろから備えをしておきたいものです。本校でも9月13日に防災避難訓練を実施する予定です。台風、大雨、地震等、自然災害への危機意識を持ち、災害への備えをしっかりと取っていきたいと思います。
また、新型コロナウイルスの新規感染者数は、本県では4週連続で前の週に比べて減少傾向にあると報道があっています。この時期、多くの学校で2学期が始まり人の動きが活発になりますので感染者数の動向を注視する必要があるともいわれています。今後も、油断なく、場面に応じた感染対策を取っていく必要があります。学校では、感染防止のため教室の換気、手洗い・手指の消毒に引き続き取り組みます。
さて、昨年、「ナッジ(nudge)」という言葉を紹介しました。ナッジというのは、「行動科学の知見から、望ましい行動をとれるよう人を後押しするアプローチのこと。多額の経済的インセンティブや罰則といった手段を用いるのではなく、人が意思決定する際の環境をデザインすることで、自発的な行動変容を促すのが特徴」とありました。英語でナッジ(nudge)は「ひじで小突く」「そっと押して動かす」という意味があり、行動変容をそっと促すというような意味で使用されています。このナッジの活用事例としてフランス、パリ市庁内の道路のコロナ禍でのソーシャルディスタンスを促すための波とカモメをモチーフにした涼しげな「Mairie de Paris」と名付けられたストリートアートを紹介しました。自然災害時の避難行動を促すメッセージにもこの「ナッジ」の考え方を取り入れ、人々がどんなメッセージを発すると避難行動が促進されるのか等も研究されているそうです。独立行政法人経済産業研究所の「豪雨災害時の早期避難促進ナッジ」(March 2020より)という報告書によれば「ナッジメッセージ」とありましたが、豪雨の際の早期避難を広く呼びかける場合は、「あなたが避難すると、人の命を救えます」というメッセージが効果的で現実的ではないかと紹介されていました。日ごろ聞いている避難の呼びかけにも「ナッジ」の考え方が取り入れられているのだと知りました。このような視点で身の回りのナッジを探してみるのも興味深いと思いました。