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2022年9月1日
生徒および保護者の方々へ 校長室より9月
2022.9.1
二学期が始まり10日程が過ぎました。夕暮れが少しずつ早くなっており、先週あたりから朝夕はずいぶんと過ごしやすくなっています。日本の南では、台風11号が発生し、西へ移動して沖縄に接近しています。予報円が大きく定かではありませんが、沖縄の南で停滞後、北に進路を変え九州に接近しそうな予報となっています。今年のこれまでの台風とは違い、非常に風が強く心配されています。最大瞬間風速が70m/sなどの報道がありました。9月1日は、1923年に関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日に当たり、台風シーズンを迎える時期でもあり、防災に対する心構えを育成する目的で「防災の日」となっています。台風・大雨・地震等、自然災害への危機意識を持ち、災害への備えをしっかりと取っていきたいと思います。
また、新型コロナウイルスの「第7波」が続いており、収束の兆しが見えない状況となっています。本県では、8月2日に「熊本BA.5対策強化宣言」が発令されましたが、8月17日には新規感染者数が5000人を超え、過去最高を更新しました。今は、私たち一人一人が自分の命、周囲の人の命の大切さを自覚し、主体的に判断し行動するときであると思っています。
この二学期も、感染防止のため「密閉・密集・密接」の3密を避け、部屋の換気、マスクの着用、手洗い・手指の消毒、一人一人の毎日の健康観察など、実践し徹底することが大切です。いろいろと情報が錯綜していますが、「科学的根拠は何か、何が真実か」などしっかりと考え、判断し、対処していく必要があります。今の状況では、誰もが感染する可能性があります。感染した人たちへの思いやりの気持ちを持ち、早く治るよう励まし、治って戻ってきたときには温かく迎えるような優しい学校でありたいと思っています。私たちは、多くの人に支えられています。感謝の気持ちを忘れず、一人一人の自覚ある努力が日常の当たり前を実現し、授業、部活動、学校行事などを当たり前にすることができるのです。
さて、先日、「行動経済学」という分野の専門家の話のなかで、「ナッジ(nudge)」という言葉が紹介されていました。ナッジというのは、「行動科学の知見から、望ましい行動をとれるよう人を後押しするアプローチのこと。多額の経済的インセンティブや罰則といった手段を用いるのではなく、人が意思決定する際の環境をデザインすることで、自発的な行動変容を促すのが特徴」とありました。英語でナッジ(nudge)は「ひじで小突く」「そっと押して動かす」という意味があり、行動変容をそっと促すというような意味で使用されています。このナッジの活用事例はたくさんありますが、フランス、パリ市庁内の道路には、コロナ禍にあって、ソーシャルディスタンスを促すための波とカモメをモチーフにした涼しげなストリートアートがペイントされているそうです。このストリートアートは、「Mairie de Paris」と名付けられており、1メートルごとにペイントされているカモメの模様は、大人も子どもも思わずそこに立ちたくなりそうなデザインになっており、これが、距離感に迷うことなく安全なソーシャルディスタンスを実現する助けになっているそうです。人々の不安やストレスを少しでも和らげながら、心地よくソーシャルディスタンスを守り続けることを可能にする、ユニークなアイデアとして紹介されていました。私たちの身近なところにも、このような「ナッジ」があることに気づいているでしょうか。身の回りのナッジを探してみましょう。