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2021年11月11日
生徒および保護者の方々へ 校長室から11月号
2021.11.10
立冬も過ぎ、本格的な冬の到来となりました。10月もあっという間に過ぎ、10月30日には、文化祭を土曜半日でしたが、高校は体育館と3年生の教室をリモートで結び開催し、中学校は崇城大学のSoLAホールをお借りして開催しました。高校の生徒会は1・2年生の新しい執行部となり、初めての大きな行事である文化祭をコロナ禍の制限の中でしたが、今ある環境の中でできることを考え工夫して、発表や展示等に挑戦し立派なものに仕上げました。11月2日には、演劇鑑賞を午前・午後の2グループに分けて2回実施し、劇団新制作座の「泥かぶら」を鑑賞しました。2年ぶりの本格的な芸術鑑賞となり大変充実した時間となりました。
また、10月から新型コロナウイルスの新規感染者数が急激に減少し、11月5日には県のリスクレベルがリスクレベル2「警報」に引き下げられ減少傾向が続いています。私たちにとって本当に明るいニュースとなっています。ワクチン接種、マスク着用の徹底など効果が出てきたものと言われています。2回目のワクチン接種から8か月経過した人の3回目のワクチン接種(ブースター接種)が進められようとしており、12月から医療従事者を対象に開始されるとの報道があります。日本では、新型コロナウイルスの新規感染者の減少傾向が続き、収束が見えてきた感がありますが、海外では感染者が再び増加している状況もあり、私たちには、今後も油断なく「密閉・密集・密接」の3密を回避し、マスクの着用、手洗い、手指の消毒など、「新しい生活様式」を一人一人が自覚をもって、引き続き実践・徹底することが求められます。これからは、インフルエンザの流行も心配な季節となります。前年度、流行はありませんでしたが、予防のためのワクチン接種や日ごろの手洗い、うがい、換気等しっかり取り組んでいく必要があります。コロナ対策とほとんど同じであり、しっかり取り組むことがインフルエンザの流行を防ぐことになります。
さて、先日、東京2020パラリンピック大会のパラ競泳(視覚障害の最も重いクラス)で3つのメダル(銀2個、銅1個)を獲得し大活躍であった熊本市出身の富田宇宙選手のインタビュー番組が放送され、「夏のパラリンピックで、メダルの色以上に追い求めたものとは何だったのか」がテーマとなっていました。富田選手は、インタビューの中で、自分自身16歳の時に病気が判明してから障がいをなかなか受け入れられず、夢をあきらめ、何度も方向転換する中で出会ったのがパラ競泳であり、パラ競泳との出会いが幸運であったと話されていました。富田選手がアスリートとして届けたかった姿は、「自分を超えること」と話され、今回、400M自由形と200M個人メドレーで自己ベストを出し、それを示すことができ、多くの方が見る東京2020パラリンピックという場所で価値ある仕事ができたと思っていると話されていました。富田選手は、パラリンピックについて問われ、「パラリンピックでメダルを取ることは、それまでの努力の証としてとても素晴らしいことであるがメダルを取ることが一番大事だとは思っていない」と話され、パラリンピックの後、同じ障がいのある子から「悩み苦しんでいる中、富田選手の泳ぎを見て勇気をもらい、前を向いて生きていけるんじゃないかと思えたんです」とのメッセージが届けられ、これを読んだとき、自分がたどり着きたかったところはここだと思ったと話されていました。「自分も障がいを負って自分の可能性が見いだせず16年間悩み苦しんできた。当時、自分が今の僕みたいな人間を見て自分の目が見えなくなって行くにしても自分のやりたいことができる」と思ってもらえるとしたら僕のやりたいことは完遂されると話されました。
富田選手は、「これからも新しいことに挑戦し、変化・成長を自分に与えていきたい。今回灯った『小さな灯』を『大きな灯』に成長させるため、ここからが頑張りどころ」と話されていました。富田選手は、多様性を認め合える社会を目指して、競技にとどまらない活動を続けておられ、SNS等を通じて活動を発信し、仲間とともに障がいを乗り越え、勇気を持って挑戦し、自らの可能性を開花させていく姿を示されています。富田選手の高い志とともに、私たちも勇気を持って挑戦し、自らの可能性を開花させていく努力の大切さに目を向け、多様性を認め合う心をはぐくんでいく必要があると強く思いました。